もくじ
RYT 200 の基本:ヨガとしての解剖学
医療でいう解剖学ではなく、ヨガの動きで必要な筋肉と骨の仕組みの基礎的な知識のことを指します。ほとんどのヨガインストラクターが保有しているRYT200のカリキュラムに組み込まれています。
ヨガインストラクターとして、生徒さんに安全にヨガクラスを受けていただくために最低限な身体の構造や筋肉などの組織の知識です。
RYT200で習う解剖学は、手足の位置、筋力や柔軟性の問題だけにフォーカスしている場合もあり、身体全体としての動きが、イメージできていないままのイントラさんも多いのです。
もちろん、ヨガポーズを安全に行う上で、手足等の位置は重要ですが、それだけでは不十分な場合もあります。そのヨガポーズを作るためには、必ず行う動作(例えば腕をあげる、足を移動させる)が存在するわけで、ひとつの動作で、全身の関節がどの方向に動くのかという、知識も必要だといえます。
ヨガとしての機能解剖学
ポーズの完成形を作ってから、手足の位置を微調整するのではなく、ポーズを作るために行う動作、例えば腕をあげるポーズなら、腕の、どの関節が、どの順番で動いていくのか、腕をあげている間の、頭から上半身の方向はどう動いているのか、あしの方向は?すべて連動して動くことを確認しながら動きやすさを誘導して、腕が上がっている間も、あがった後も、最大限に心地よく動けることを目指します。
ヨガポーズを取る上で、ポーズそのものの手足の位置だけではなく、必要な動きの方向性を骨格から考えていくのです。そのヨガポーズで使う局所的な筋肉ではなく、複数の関節の動きの組み合わせや、骨(関節)と骨格筋から考えていくものなのです。
RYT200では機能解剖学は習わない場合がほとんど
RYTで習う解剖学とは、健康体で痛みがない人向けに構成されているといえます。さらには、筋肉についてのほうが、骨格よりも優先されることのほうが多いのではないでしょうか。
これは、デメリットではもちろんないのですが、ヨガは動きひとつひとつの集合体といえるので、筋肉だけではなく骨格からの動きの知識もあったほうが良いのです。
機能解剖学を習ったほうが良いメリット2つ
①生徒さん一人一人に合った、身体に負担がかけない動きを選べる
骨格は人それぞれ違います。
この辺りはRYT200の解剖学でも習う部分かと思います。しかし、骨格に合わせた身体の動かし方までは、踏み込めていないのが現実なのではないでしょうか。
さらには、私たちは誰でも、身体の使い方のクセがあります。このクセというのは、本来使うべき筋肉を使わないで局所的に使いやすい筋肉だけを無自覚に使っているのです。
そのため、アンバランスな身体の使い方で練習を重ねてしまうと、一箇所に負担をかけてしまい、怪我や痛みの原因となってしまいます。
機能解剖学を習得すると、人それぞれの骨格と、それぞれの身体のクセを極力出させないでヨガポーズを誘導することが可能になります。その結果、生徒は動きがラクになり、ヨガポーズが深まるのです。
②ヨガレッスン中の比喩的な表現に深みが出る
ヨガインストラクター自身が身体の使い方の理解があいまいだと、比喩的な表現は生徒に伝わりづらくなります。
比喩的な表現(例えば、足の裏で大地をつかんで、、、など)は、心と身体は繋がっていると考えるヨガならではの誘導方法の一つです。他のボディワークでは見られないような表現は、ヨガレッスンの醍醐味です。
一方で、身体の使い方の知識があいまいなまま誘導に取り入れてしまうと、参加している生徒は、どのように身体を動かせばよいのか迷いがでてしまう事もあり、その迷いが怪我の原因になる危険性もあるのではないでしょうか。
同じ比喩的な表現でも、ヨガインストラクターが機能解剖学の知識があった上で、比喩的な表現で誘導されるのと、そうではない場合は生徒側の受け取り方にも大きな差が出るといえます。