もくじ
お尻の穴と会陰を締めることがムーラバンダなのか?
結論からいうと、NO.
例えば、戦士のポーズを取る時に、最初にムーラバンダの確認から入ることが多いと思います。
足の位置を決め、その後に「お尻の穴や会陰を締める」これは定番なひとつインストラクションですが、ひとつ問題が起きます。
それは、「余計な力みを作ってしまう」ということ。
余計な力みは、体に緊張を引き起こし体の他の部分に弊害が生じると考えられます。
ムーラバンダのやり方は実はシンプル
骨格をデフォルトの位置にすればよいだけ。つまり、骨格標本と同じ位置にすればよいだけです。 骨格と聞くと一見関係のないように聞こえますが、実は「ムーラバンダをアクティブな状態」にするための重要な鍵となるのです。
私たちは、立っているだけで重力の影響により、どこかしらに負荷がかかっています。ですので、どこかしらの筋肉は常に使われているので、理論的には骨の位置をデフォルトに戻せば、ムーラバンダは自然と使っている状態になるということです。
ムーラバンダとは、実は想像以上に繊細な体の使い方なのです。
骨の位置がデフォルトになった結果がムーラバンダだといえる
逆にいうとムーラバンダはインナーマッスルのため、インナーマッスルがきちんと使えていればムーラバンダは使えている状態になります。骨の位置をデフォルトの状態にするのはインナーマッスルを働かせるためなのです。
バンダはインナーマッスルと複雑に関係していますので、ムーラバンダが使えているの状態とは、全身が協調して使える状態(アクティブな状態)だといえます。
ムーラバンダは理解しづらくて当たり前
ムーラバンダを解剖学的に説明するなら骨盤底筋(インナーマッスル)を指しますが、この付近は構成している骨も筋肉も複雑で、骨盤底筋と腹筋、さらにはお尻の外側の筋肉とも巡り巡ってつながっています。
だから、いきなり骨盤底筋だけを働かせようとしても、そもそも無理がある話なのです。
そもそもお尻の穴と会陰だけに力を入れることは不可能
ヨガをやっていると様々な筋肉名を耳にしますが、それぞれが独立して存在しているわけではなく、靭帯や筋膜といった結合組織を通じて全身の筋肉がつながっています。よって、その一部だけを力ませても、その力みはアウターマッスルのほうが強く働いてしまい、肝心のインナーマッスルが使えてないといった状態に陥る危険があります。
ヨガポーズでせっかく得られる効果も、力みによってブロックされてしまうということです。
ムーラバンダがきちんと使えた時の効果11個
- 呼吸が自然と深くなります。
- 女性の月経痛を和らげます。
- 生殖器系を強化します。
- 血圧を下げ、呼吸器系の問題を緩和します。
- 消化を助け、ガスや便秘の解消に役立ちます。
- 自己認識と意識の覚醒を助けます。
- 骨盤を安定させ、背骨の動きを良くします。
- 体を柔軟にし、軽くします。
- エネルギーを高め、自分に自信を持たせます。
- 下半身を安定させるため、精神的にも安定します。
- 体幹が安定しインナーマッスルが活性化されます。
ムーラバンダと骨盤底筋群のエクササイズは別と考えよう
ムーラバンダと骨盤底筋群は直結しているため一緒に考えてしまうことが多いと思います。
しかし「ムーラバンダを意識しよう」とすると周辺の筋肉を緊張させてしまい、周辺の筋肉にまで余計な緊張を強いることが多いのです。そのため、ヨガの練習中は、「骨盤底筋群をギュッと」する動きは避けたほうがよいと考えます。
ですが、ムーラバンダを活性化させるのは、骨盤底筋群がきちんと働く状態にある必要があるため、エクササイズは必須です。
骨盤底筋群のトレーニングをする時はそれだけのエクサイズをするとよいでしょう。
骨盤底筋群のエクササイズ
骨盤底筋群のエクササイズの効果を得るためには、正しい方法で行う必要があります。正しいやり方で毎日継続して実践すれば、骨盤底筋群は強化され、尿もれの軽減や予防にも役立ちます。
①ゆったりと座ります。肩とあごの力を抜いて、呼吸に意識を向けます。 ②息を吸いながら、骨盤底筋を持ち上げます。 ③持ち上げた状態で10秒間キープ。最初は3秒くらいから始めて、徐々に10秒まで増やします。 ④息を吐きながら骨盤底筋をリリース、完全にリラックスします。 このエクササイズは、1日2回、毎日2~5分ほど練習するとよいでしょう。
ムーラバンダのためのプチ解剖学
私たちの身体の土台となる軸は、頭蓋骨と背骨(脊椎)というたくさんの骨で構成されています。
この頭や脊椎の骨一つひとつが自由に動けている状態というのは、その一つひとつに繋がっている最も小さいインナーマッスルがちゃんと仕事をしてくれているという証拠です。ムーラバンダを構成するインナーマッスル(骨盤底筋群)は、背骨(脊椎)と繋がっているのため、体のすべての動きと連動しています。
ところが、私たちは頭を胴体に向かって無意識に引っ込めて緊張させるという習慣があります。そのせいで頭や脊椎の骨一つひとつが自由に動けていないことの方が日常的です。なので、骨盤底筋群のエクササイズをするなら、その前に準備をすることがあります。
・無自覚な緊張がないか体を観察する。
・頭と首のつけ根に力が入っていないか観察する。
まずは、頭を引っ込めるという習慣をやめて、緊張から解放させるところがから始めるとより効果的でしょう。
ムーラバンダを本当に理解するにはパーソナルヨガがおすすめ
ムーラバンダで使う骨盤底筋群は想像以上に微細で受動的な動きです。これをマスターするには繰返しの練習が必要ですが、と同時に正しい体の使い方で練習する必要があります。「正しい」とは正解か不正解というものではなく、その人の体型、骨格に応じた動きということです。
つまり、人にはそれぞれ体の使い方のクセがあり、そのクセに合ったやり方で細かく体の使い方をアップデートするということです。特にムーラバンダは「アウターマッスルを使わないで、インナーマッスルだけを使っていく」等、パーソナルヨガでしかできない内容になります。