もくじ
インナーマッスルは正しく使えているのか?
インナーマッスルの使い方を本当に理解しているヨギって少ないと思うんです。私も正直わかっていないというか。
私の理解は、長時間姿勢を保てる疲労しづらい筋肉。
この認識に間違いないでしょうか?
疲労しづらいというより、深層にある筋肉そのものを感じるのは難しいので、疲れていても意識しづらいというのが私の解釈です。ちなみに、今ちひろさんがおっしゃっているのは、脊柱起立筋ですか?
主に脊柱起立筋=インナーマッスル。というイメージをしちゃってます。
脊椎のバランスをとる筋肉としては、脊柱起立筋よりさらに深層に多数の筋肉があることはご存知ですか?脊柱起立筋もインナーマッスルですが、割と外側に位置している方なんですよ。
脊柱起立筋よりも深層には棘間筋や横突間筋、回旋筋、多裂筋などがあります。
これらのインナーマッスルを正しく使えているのかの判断も、意識もしづらいように思います。
ほぼ意識はできません。
脊椎は1本の大きな骨ではなく、椎骨という小さな骨がたくさん連なって緩やかなカーブを描く脊椎となっています。脊柱起立筋はそんな長い脊椎を割りと広い範囲でつなげる筋肉です。対して、さらに深層にある筋肉はは上と下の椎骨を1つ1つをつなぐ本当に短い筋肉で、呼吸をするごとに、鼓動のたびにといった非常に繊細なレベルで脊椎のバランスを保つのに常に使われています。特に脊椎は姿勢を保つという点であらゆる動作の起点といえますから、この繊細なレベルでの筋肉が自由に動けることによって、ダイナミックなポーズもよりのびのびできるわけです。
ヨガポーズでインナーマッスルを結果的に正しく使えていないのは、ふわっとした表現な誘導にも要因になるのでしょうか?
誘導云々以前に、インストラクターやポーズを行う本人が筋肉や身体のしくみについてどう考えているかが影響していると思いますよ。では、身体への理解が実際の動きにどう影響するのかの実験として、「腕を挙げる」という動作でいつも通りのイメージと実際の動きの違いについて考えてみましょう。
骨をスタート地点として動きを考えてみる
ちひろさんは腕を挙げるということをどういうことだと考えいますか?
例えば、手のひらを前ならえの方向に持っていき、天の方向へ動かす動作。指先に意識を持っていって、なるべく胴体から離れた位置、すなわち遠くを通るようにします。なので、メインは指先に意識です。
動きの先端が指先だということははっきりしているようですが、腕の始まりは考えていますか?
動かす時は考えてないです。しかも私自身ヨガインストラクター時代は、そうやって誘導していました。しかも、疑問に思うことなく。
次に胸鎖関節に手を当てて、「腕はここから始まって、指先が誘導して動く」と思って動かしてみたら変わります?
可動域が広がりました。
今の実験から考えられるのは、腕がどこから始まるのかや本来の長さを勘違いしていたために、挙げようとする以前に自分で制限をかけていたかもしれないということ。
そもそも「前へならえ」という表現がかなり強烈で、そう思った時点で肩や上腕部に力が入りそうだなと思いました。そうすると、その後の指先を意識したとしても腕を動かすという動作に制限をもたらします。
腕と聞くと肩から先の部分と思う人が多いですが、腕は肩よりも身体に近い肩甲骨と鎖骨にもつながっていて、連動してすべての関節が動くんです。
だから、「○○筋を使ってください」と宣言されても、そこだけを正確に動かすのは無理だと思うんです。隣り合う関節と筋肉、そして、全身が連動しないと。そこで私は、骨格の話を通して全身がつながっていることを理解するといいと思っています。
インナーマッスルの前に大事なこと
私の場合、筋肉についてはどちらかというと後回しで、骨の形、大きさ、骨と骨が連結する関節の形などの理解、関節が自分の身体のどこに位置するのか、どんな風に動くのかというボディマッピングをしてもらうことを優先しています。これらが認識できると、脳が新しい知識に沿ったイメージの通りに動くように指示を出して、筋肉たちが動いてくれるんですよ。
インナーマッスルだけに囚われないようにする
筋肉は骨を動かすためのもので、骨が動くことによって動作という結果なります。それはインナーマッスルでもアウターマッスルでも同じこと。加えて、脊柱起立筋とそれより深層にある筋肉でお話したように、インナーマッスルが固まって繊細なレベルで関節の可動域が制限されれば、それよりダイナミックな動きはもっと制限されてしまう。インナーマッスル、骨、アウターマッスルそれぞれが、切っても切れない関係にあるんです。