もくじ
アヒンサー(非暴力)とは
アヒンサーとは苦痛を引き起こさないことである。注釈家はこれを”不摂生”と訳す人もが、そうではない。”ヒンサー”は”苦痛を引き起こすこと”
苦痛を引き起こさないことは、一見簡単そうにみえますが意外とできていない事が多いのです。実は無自覚に行っている場合が多いので気づかないのです。
それは他者に対してでしょうか?いいえ。一番の被害者は、自分自身なのです。
ヨガの教えでは、例えば、嫉妬、妬み、怒りなどのマイナス感情を抱くこともヒンサーであるといわれています。なぜなら、他者に向けられているように見えますが、マイナス感情とは、他者による刺激によって自分が反応しているだけだからです。このマイナスな反応は自分への攻撃とも取れるわけです。
しかし、人間の喜怒哀楽があって当然ですし、例えば、売れっ子になった同期のヨガインストラクターをみて、「いいなー」と嫉妬が交じるのは当たり前です。でも、そんな嫉妬心を「こんなに嫉妬してしまう私嫌だな」と否定してしまうのは、ヒンサーといえます。
アヒンサー① 世の中のヨガインストラクターのイメージを自分に押し付けている
ヨガインストラクターたるものは、イライラしたり怒ってならない。
ベジタリアンであるべきだし、花粉症にならない。腰痛なんてもってのほかで、鼻うがいは日常で、、、などと、少し世俗離れしたイメージがあるようです。
そのイメージに対して、良くも悪くも無自覚に自分を当てはめてしまっているケースをよく耳にします。このような世の中が作った「ヨガインストラクター像」に自分を比べてみたり、近づこうとする事は、自分に対するヒンサーであるといえます。
もし、「え?!ヨガインストラクターなのに?」と言われて恥ずかしい!と思ってしまった時は、なぜそう思うのか、これはヒンサーではないのか。と考えてみましょう。
アヒンサー② ヨガポーズは完成形に近くなければ!と身体に負荷をかける
身体の知っていることの範囲が狭さが、自身の身体に大きく負担をかけていることがあります。そして、この負担こそが自分に対する暴力(ヒンサー)の一つとも言えるのではないでしょうか。
180度の開脚をできる人や身体が柔らかい人は、筋肉に柔軟性があって、筋肉痛、肩こりや腰痛とは無縁にならないというイメージは典型的な誤解といえます。
例えば、子供は残酷といわれるように、暴力的な発言をします。これは子供ゆえに、自分の知っている世界が狭い。その中での良し悪しの基準で判断しているからといえます。
ヨガポーズの完成形だけにスポットライトを当て、やみくもに練習を繰り返すことは、同じような状況が自分の中に起こっているということになります。
解決①骨格についての知識をつけること
例えば、ヨガポーズの完成形に近づくためには、練習することが必要です。
しかし、骨格についてのヨガで使える知識が欠けていると、誤解したまま自分に負荷をかけてしまうのです。この間違った身体の使い方による怪我は、自分に対してのヒンサー(暴力)の結果だといえるのではないでしょうか。
多くのヨガインストラクターの怪我の原因の一つに、「力み」という身体の使い方が存在します。しかし、結果ばかりに目を奪われて、やみくもに練習していたのでは、「力み」にはきづけません。
ヨガポーズを完成形に持っていこうとする気負いが「力み」に繋がっているといえます。しかし、正しい身体の使い方の仕組みを知っていれば、「力み」を発生させないことも可能になるのです。
身体と心は繋がっている。理想を求めすぎてしまうとアヒンサーではなくなる
人は心身統一体です。
絶対にやらねば!頑張らねば!という自分を追い込むような思考は、よくあることですが、身体の緊張を引き起こします。
そのときに、どの筋肉にどんな動きが起きているのかを、観察してみましょう。 その身体の力みこそが自分自身へのヒンサーなのです。
筋肉の動きを知ること、骨格の動きを知ることは自分自身へのアヒンサーに繋がります。また、動きにくさや力みを作っている自分の思考に気が付く裏技のようなものとも言えます。
その身体の緊張に気がついた時、自分の本当の望みが自然と見えてくるのではないでしょうか。本当の望みは、純粋でけっして無理を強いるようなものではないはずです。