猫のポーズは、緊張を解いた状態で無理なく動かすという点では、頭からの方が効率的だと思います。
「骨盤を前傾させて、脊椎を反らせて、肩骨を引き寄せながら、斜め上を見る」
「両手でしっかりと床を押し、おへそを背中に近づけるようにして、目線はお腹を覗き込むように。」
これは、猫のポーズの一般的な誘導です。しかし、このインストラクションではやりづらさが解消されない場合があるようです。
もくじ
猫のポーズ(キャットアンドカウ)の効果
・呼吸を整える
・自律神経を整える
・背中の緊張をほぐす
・インナーマッスルを整える
猫のポーズは、背骨を一つずつ意識的に動かせるようにし、背骨全体を活性化してくれる効果の高いヨガポーズです。
しかし、普段の無自覚な身体の使い方の癖のまま猫のポーズを行っても得られる効果は半減してしまいます。ヨガポーズから十分な効果を得るためには、身体の余分な力みがないかを意識することと、背骨だけではなく、頭も背骨の一部と考えて猫のポーズを行うと良いです。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)ができない原因5つ
1 呼吸に意識をしすぎている。
一呼吸一動作が理想的ではありますが、呼吸に意識が行き過ぎてしまい、身体の動きの部分がおろそかになっている場合があります。
2 首を長く伸ばすように心がけている。
首を長〜くと、無理に伸ばしても、肩と首周りを逆に緊張させることになります。この余計な力が動きを妨げてしまいます。
3 肩甲骨を”一生懸命”引き寄せる、または引き離している。
肩甲骨だけに注力すると、これも余計な力みを作ってしまいます。この力みは背中全体の動きに悪影響を及ぼしてしまいます。
4 キャットの時におへそを背中へ近づけすぎている。
腹筋だけに頼っておへそを背中の方へ引き入れる動きは、実は背骨一つ一つの連動する動きを妨げている場合があります。
5 手のひらで床をこれでもかと押している。
手のひらだけを意識すると、頭〜背骨全体、肩、腕に余計な力が入ってしまいます。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)のやり方
- 四つん這いの姿勢になる。
- 息を吐きながら、尾骨から背骨を一つずつ動かす。最後に頭のてっぺんが下に向く。
3.息を吸いながら、頭のてっぺんを上に持ち上げる。連動して、頚椎から一つずつ動かす。
この時、呼吸にあまり意識をしすぎると身体に緊張が生まれてしまいます。背骨の周りにはインナーマッスルが複雑に絡みあっていて、呼吸筋とも連動しています。ですので、背骨が活性化されると、呼吸筋も連動するので結果、呼吸が自然と深まります。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)の本当の目的を理解する
猫のポーズの一連の動きというのは、頭とたくさんの椎骨で構成される背骨を自由に動かす練習だと考えています。
このヨガポーズは骨盤から動かすという誘導が一般的なようですが、そうすると残念ながら、本来の身体のデザインを無視して、逆に背骨全体を固めていることが多いです。
ここで大事なポイントになるのが、解剖学的な知識です。背骨は1本の骨ではなく、椎骨という骨がたくさん連なって、背骨全体を成しています。そして、その1つ1つの間に関節があって、全てが動けるようになって全身のバランスをとっているのです。
猫のポーズの練習は、背骨1本1本の動きを良くすることによって、その周りのインナーマッスルをしっかりと活性化させるのが目的なのです。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)上達させるには頭の動きを大切にする
背骨の上には5〜6kgもの頭があり、頸椎(首)という脊椎の中でも小さく細い部類に入る椎骨の連なりで頭を支えています。ところが、頭と頸椎の接点である関節部は想像以上にピンポイントで小さいもの。しかも、そこに直接神経が通っているわけではないので、意識することができません。
身体を固めてしまう(=緊張)の根本的な原因は、実はそこにあります。このような繊細なところに5〜6kgの重量がかかるのですから、頸椎(首の部分)は無意識のうちにどうしても頑張ってしまうわけです。
そして頭と頸椎(首の部分)が緊張により固まっていると、その下の胸椎や腰椎、さらには股関節にまで影響します。そんな状態で、途中にある骨盤を無理に動かしても、猫のポーズの効果を得るとこはできません。
頭と頸椎(首の部分)の緊張が解けて、軸骨格が自由に動けていれば自然と背中が伸びてくるので、結果として、無理に肩甲骨を寄せたり離したりすることも、手で床を押すことも、おへそを背中に近づけることも、必要なくなります。勝手にそういう状態に身体はなっているんです。
そのような理由で、猫のポーズは、骨盤の動きよりも頭を意識して、頭から動く方がよいのです。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)の時の首のつまり感を少なくするコツ
まずは、体全体の力みに気づくことが大事です。そこを気づきやすくするために、自分の頭がどこから動くのかを思い出しましょう。耳たぶの後ろの凸凹、顎関節の付近を触ってみてください。その奥が頭と頸椎の関節部。首はそこから始まります。そして、さらに上に頭頂があるのです。そう思って頭を動かしてみるとどうですか?
頭も背骨の一部であるという考え方は、立っていても、四つん這いでも、寝ていても同じなので応用がききます。
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