もくじ
ラジオ体操と、さほど違いがない現代のヨガ
ヨガは瞑想状態になること、さらには悟りをひらくことが目的です。しかしながら、主流となっているヨガは、悟りをひらくためというよりは、日々のストレスを軽減し身体的に健康に、さらに精神的に豊かに生きるためのトレーニングという意味合いが強いように思います。
これが悪いという意味ではなく、現代的な日常生活を送りながら、ヨガの練習の目的が悟りをひらくこととするのは少々無理があるということです。なのでヨガといえば、ヨガインストラクターの誘導でヨガポーズを取ることが、現代のヨガといえるのではないでしょうか。
精神的な鍛錬よりも身体的に整えるヨガが主流となっているのであれば、ラジオ体操と目的の違いはさほどありません。
ラジオ体操の目的とは健康の保持増進
ラジオ体操は、子供からお年寄りまで幅広く知られた国民的な体操です。目的は、体力向上、健康の保持増進です。効果としては、
- ・全身の血行がよくなる。
- ・呼吸機能の促進
- ・消化器の働きの改善
- ・腰痛予防
とされています。
(参考:一般財団法人 簡易保険加入者協会)
ラジオ体操と違いのないヨガレッスンの2つの問題点
自分の体に対しての細かい向き合い方に解説がなく、腕を上げる下げるだけの説明のみの誘導なら、ラジオ体操とあまり変わりません。
さらには、体にかかる負荷が高いヨガポーズでは実践的な解剖学の知識をヨガインストラクターが持ち合わせていないと、生徒さんに怪我をさせてしまうリスクがあります。
一つの誘導の言葉の解釈は人それぞれ違います。特に大人数のグループレッスンでは、生徒さんがムリな動きをしていないかどうかを観察できる力をヨガインストラクターは備えている必要があります。
問題点① マニュアル通りの誘導の言葉は、思い込みに気づきにくい
ヨガインストラクターの養成講座で習ったマニュアル通りのレッスンは、ヨガインストラクターに一種の安心感をもたらし、安定した気持ちでヨガレッスンを提供する事ができます。
常に同じ言葉での誘導は、生徒さん自身もリラックスできて、その日の体調による動きやすさの違いに気づくことができるというメリットもあります。しかし、一方でヨガインストラクターの思い込みが、生徒さんの体に余計な負担をかけてしまっている可能性もあるのです。
問題点② 無意識で動いているヨガは怪我のリスクを高める
「慣れること=無意識で動いている」といえます。
確かに、1呼吸1動作のビンヤサの場合は、呼吸の流れに乗れたような感覚は心地よいといえます。
ただ、いつものクセの動きになってしまうと、どうしても動きやすい部分の筋肉を使ってしまうので、使いすぎる筋肉と使わない筋肉を、時間をかけて育ててしまうことにもなります。
つまり、使いすぎの部分を痛めたり、使わない部分の筋肉が弱ることによるケガや不調にもつながってしまうのです。
現代的なヨガの目的に必要な2つの視点
視点① ヨガの養成講座で習った「誘導方法」を少しだけ疑ってみる(クリティカル)
ヨガのティーチャートレーニングで習っているときは、信じる指導者が教えてくれる通りにやればいいと思うのは当然です。知らないことを初めて習う時は、ほとんどがそうだと思います。
ただ、指導経験を積んでいけば、人それぞれ骨格は違うものだし、言葉の解釈も違うものだと気づく時がきます。同じアーサナをやっているのに、使っている筋肉は人それぞれ、びっくりするくらい違うということに気づくでしょう。
その時がきたら、今までの誘導の言葉を一度見直してみましょう。その言葉に自分は、そして生徒さんはどう反応しているのか、動きを観察して分析していくのです。ときには、生徒さんに直接聞いてみてもいいのです。
視点② 機能的な身体の使い方を勉強する
全身の筋肉を、必要な時に必要な分だけ使えるようになるために、解剖学を勉強するのはいいのですが、複雑な解剖学が苦手なヨガインストラクターも多いです。
そこでYOGA BASE LABでは、まずは骨(骨格)の動きを学んでいきます。筋肉は、骨(関節)を動かしているということを理解すれば、関節の動きの重要性がわかると思います。主要な骨格、関節は、筋肉のように多くないので覚えやすいですし、動かす順番がわかってくれば、筋肉の名前は覚えなくても自動的に必要なところが動いてくれます。
まずは骨格模型と仲良くなっていきましょう。
ラジオ体操とヨガ。目的の違いはアプローチを思考する部分
一般的に、ラジオ体操で完成形を目指している人は少ないと思います。しかし、ヨガでは形、完成形にこだわっているヨガインストラクターも生徒さんも、多いのではないでしょうか。
完成形を頭に描いて動くことは、一見いいことのように思いがちですが、実は骨格にムリのある動きになってしまう場合が多いのです。
では、その筋力強化と柔軟性の向上のためにどうしたらいいかと聞かれたらどうでしょう?
体(自分)へのアプローチの仕方とは、動きをロジカルに捉えること
ただやみくもに、痛く苦しい反復練習を生徒さんにすすめるのは、ケガに繋がる危険なことだし、精神的にも、できない自分に対してがっかりしたり責めたりしがちです。
ムリなく筋力と柔軟性を向上するためには、骨格のしくみの知識を増やし、その動かす順番について考えることがとても重要なのです。
「ヨガはポーズを取ることが目的ではなくアプローチである」とは、動きのプロセスを科学的にとらえ、ロジカルに実践することが、現代におけるヨガ本来の目的といえます。
アレクサンダーテクニーク・姿勢ヨガ
毎月 第3土曜日11:00 – 12:15
【対象】
ヨガインストラクター、アレクサンダーテクニークに興味のある方