ヴィーガンやベジタリアンと言うと、ただ「肉や魚や卵など動物性食品を摂らないだけ」なんて思っていませんか?ベジタリアンになって健康になった!という声も聞きますが、逆になんだか疲れやすくなったなんて方も・・・
もちろん体質もありますが、まずは今まで摂っていた動物性食品の栄養素を、今度は植物性で摂るようにしたいですね。
それは、単純に”置き換える”ことで栄養管理ができるので、今回はどんな栄養素が必要かお伝えしたいと思います!
もくじ
ベジタリアンに不足しがちな栄養素
では、肉や魚介類など動物性食品を摂らない場合、どんな栄養素を補えばよいのでしょうか?また、その栄養素がどんな植物性食品に含まれているのか紹介します。
タンパク質
タンパク質は、主にアミノ酸によって構成されていて、髪の毛や爪、肌や筋肉、内臓まで構成する体を作るのに欠かすことが出来ない重要な栄養素です。
アミノ酸は20種類あり、そのうち9種類は体内で合成出来ない必須アミノ酸と呼ばれていて、食事から摂取しなければいけないんです。
厚生労働省の食事摂取基準による、一日の推奨量は成人男性60g、成人女性50gですが、ハーヴィ―・ダイアモンド博士の著書「フィット・フォー・ライフ」では、一日に失われるタンパク質23gを補う分が必要量と言っています。
WHO(世界保健機関)でも、動物性タンパク質の摂取が増えるごとに、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが増加し、過剰摂取で体が酸性に傾き、中和するためにミネラルが奪われる悪影響が大きいと報告してます。
タンパク質の消化吸収にミネラルを!
そこで必要なのが、カルシウムやマグネシウム、亜鉛、ビタミンB6、ビタミンCなどのミネラルです。
食品から摂取したタンパク質は、消化酵素でペプチド、アミノ酸に分解されて、その形で小腸から吸収されます。このアミノ酸が組織や筋肉に運ばれて、タンパク質が合成され血液や筋肉、酵素、ホルモンなどが出来るのですが、
この消化吸収の過程で作られる、酸の中和や代謝のためにミネラルが不可欠となるからです。
必須アミノ酸の9種類
体内で合成出来ない必須アミノ酸はこの9種類です。
・バリン・イソロイシン・ロイシン・リジン・フェニルアラニン・トリプトファン・スレオニン・ヒスチジン・メチオニン |
タンパク質を語る上で、必須アミノ酸がバランスよく含まれているか数値化したもので、「アミノ酸スコア」がありますが、そのアミノ酸スコアが100の食材は、卵と大豆です。
これを、完全タンパク質の食材と言いますが、他にもそばやキヌア、チアシード、ヘンプシードがあります。また、1つ以上のアミノ酸が欠けているものを不完全タンパク質と呼びます。
タンパク質が豊富なのは大豆、ナッツ、ゴマ
植物性では、大豆以外にも、カシュ―ナッツやピーナツ、ゴマなどに、タンパク質の含有量が多いです。ピーナツバターやゴマペーストなどを調理に使えば効率よく食べられますね。それ以外の食品も確認してみましょう。
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食材 | タンパク質含有量/100g中 |
ピーナツ | 26g |
ゴマ | 20g |
カシューナッツ | 19g |
納豆 | 16g |
枝豆 | 11g |
厚揚げ | 10g |
ひよこ豆(ゆで) | 9g |
焼豆腐 | 7g |
大和芋 | 4g |
マイタケ | 3g |
この植物性タンパク質は、穀物や野菜にも含まれていますし、不完全タンパクでも必須アミノ酸を含む食材と一緒に摂ることで、効率よくタンパク質を合成させることが出来ますね。
乳製品や卵を摂るオボラクトベジタリアンはほとんど心配ないでしょう。でも、タンパク質の不足は、肌や髪の毛のトラブルだけでなく、体力や筋力、免疫力の低下の恐れがあるので、バランスが重要ですね。
ビタミンB12
ビタミンB12は、魚オッケーのペスクタリアンや乳製品や卵を食べるオボラクトベジタリアンには問題ありませんが、ヴィーガンや乳卵なしのオリエンタルベジタリアンは注意しなければいけません。
サプリメントで摂取しよう
なぜなら、ビタミンB12が含まれる植物性食品は海苔しかないんです!海苔のビタミンB12含有量は、100gあたり57μgなので、海苔だけでもなんとかなるやん~と思ってしまいがちですが。。。
実は、ビタミンB12はバクテリア(微生物)が生産するので、そのバクテリアがどの位付着しているかによるわけです。なのでビタミンB12はサプリメントが簡単。ここではニュートリションイーストをおすすめします!
原材料名 ドライイースト,B3,B6,B2,B1,B9,B12
チーズのように振りかけたり、シチューやスープに。
ちなみに肉にビタミンB12が多いのは、家畜の飼料にビタミンB12を配合しているからなんです。つまり、肉の栄養素というよりも飼料が体内に入って肉にたまった微生物ということですね。そう考えると、むしろダイレクトにサプリメントからビタミンB12を摂取するほうが安全なのかもしれません。
カルシウム
カルシウムは、健康な骨や歯を作り、筋肉の収縮や心機能、血液の凝固等に関わる働きを持つ重要な栄養素です。
一日の推奨量は、・成人男性 18-29歳 800mg、30-49歳 650mg、50歳以上 700mg ・成人女性 650mg |
カルシウムというと、乳製品や骨ごと食べる魚のイメージがあると思います。確かに、プロセスチーズ100g中に630mg、牛乳で110mg、シシャモ350mg、わかさぎ450mgなど高含有量ですね。
でも、植物性にもカルシムを豊富に含む食材が沢山あります。
カルシウム豊富な海藻類や大豆食品
植物性では、ヒジキなどの海藻類や大豆加工食品などにカルシウムが多く含まれています。他にもゴマや野菜の葉物など、確認していきましょう。
食材 | カルシウム含有量/100g中 |
ヒジキ乾燥 | 1400mg |
ゴマ | 1200mg |
わかめ素干し | 780mg |
チアシード | 630mg |
切り干し大根 | 540mg |
油揚げ | 300mg |
モロヘイヤ | 260mg |
厚揚げ | 240mg |
大根の葉、ケール | 220mg |
アーモンド | 210mg |
かぶの葉 | 190mg |
このように、様々な食材に含まれているので料理の幅も広がりますね?私も、大根やカブを皮や葉の部分まで頂くホールフードを心がけ、ヒジキや切り干し大根など乾物を利用してます。チアシードも毎日のように水でもどしてフルーツに混ぜて食べてるんです。
カルシウムの吸収にはビタミンDも
カルシウムが慢性的に不足すると、骨量や骨密度が減って骨粗鬆症を起こす危険性があるので注意したいですね。
そこで、忘れてはいけないのがビタミンD!
カルシウムを体内に吸収するためにはビタミンDが必要なんです。
このビタミンDを生成するために日光に当たることと、ビタミンDが豊富なキクラゲや干しシイタケなどキノコ類も摂るようにしましょう。
鉄分
貧血対策に必要な鉄分は、体内の酸素の運搬に重要な役割をもつ栄養素です。一日の摂取量は、性別や年齢によりますが7~10mg推奨とされています。
鉄分は、一般にレバーや赤身の肉、アサリなど貝類が有名ですが、様々な植物性食材からも摂取することが出来るんです。
鉄分豊富な、大豆食品、ナッツ、海藻類
ベジタリアン向けの鉄分は豊富で、納豆など大豆食品、カシューナッツなどナッツ類、海苔など海藻類等々から多く摂取出来ます。
食材 | 鉄分含有量/100g中 |
キクラゲ乾燥 | 35.2mg |
焼き海苔 | 11.4mg |
ゴマ | 9.9mg |
切り干し大根 | 9.7mg |
パセリ | 7.5mg |
ヒジキ乾燥 | 6.2mg |
カシューナッツ | 4.8mg |
油揚げ | 4.2mg |
つまみ菜 | 3.3mg |
納豆 | 3.3mg |
アーモンド | 2.9mg |
枝豆 | 2.5mg |
植物性鉄分は吸収率低い?
鉄分が不足すると、十分に体内に酸素を届けることが出来なくなるので疲れやすくなり、そのため心臓にかかる負担も大きくなってしまいます。また、植物性の鉄分は動物性より吸収が悪いとされているので、食べ方を工夫する必要があるんです。
・1日3食でこまめに摂る
鉄分は、一度に吸収される量が少ないので、なるべくこまめに摂りましょう。多めにとっても余分なら排せつされるので大丈夫。
・鉄の吸収を助ける食品と一緒に
ビタミンCは鉄の吸収を促進します。ベジタリアンは、ビタミンCの多い野菜や果物を日常的に摂っているので心配はありませんね!
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸のα-リノレン酸のことで、食品から摂取する必要がある必須脂肪酸のことです。
オメガ3脂肪酸のα-リノレン酸は、体内でDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エンコサペンタエン酸)を合成します。癌細胞の増殖を防ぎ、血圧を下げ、血液の流れをよくし、善玉悪玉コレステロールを整える等々。
一日の摂取量は、男性2~2.4g、成人女性1.6~2gが必要とされてます。
オメガ3摂取には、青魚以外にも植物性で簡単に摂ることが出来るんです。
オメガ3脂肪酸が豊富な植物性食材
植物性では、亜麻仁種から抽出したアマニオイルやえごまオイルが注目されていますが、他にもチアシードやヘンプシードなど種子にオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
ただし、沢山摂取すればいいのではなく、オメガ6脂肪酸とのバランスがポイントとなります。そのバランスは、オメガ3:オメガ6=1:4 がベスト!なんです。。。
しかし、オメガ6脂肪酸は多くの食品に含まれているため、日本人には摂取過剰と言われています。オメガ6脂肪酸は、一般に使われているサラダ油やスナック菓子などに多いので、食生活に合わせて調節するよう心がけてください。
バランスを調整するオメガ3食材
そこで、オメガ3脂肪酸を豊富に含むことでオメガ6脂肪酸とのバランスを調整する食材を確認してみましょう。
食材 | 比率(Ω3:Ω6) |
えごまオイル(1日に小さじ1) | 5.3:1 |
アマニオイル(1日に小さじ1) | 4.2:1 |
チアシード(1日に大さじ1弱) | 3.0:1 |
インカインチオイル(1日に小さじ1) | 1.5:1 |
*()内は一日の摂取目安量
また、普段の食生活で、オメガ6脂肪酸をほとんど摂らないようでしたら、オメガ3:オメガ6=1:4のヘンプシードオイルやクルミなどのベストバランスでも良いですね。
他にも、芽キャベツやカリフラワー、ブルーベリーにもオメガ脂肪酸が含まれています。
そして、オメガ3脂肪酸は加熱に弱いので、サラダや和え物にしたり、最後にかけるようにしてください。
楽しく実践するのも栄養管理
このように、「植物性から必要な栄養素を摂取する方法」が分かれば、ヴィーガンやベジタリアンでも安心な食生活を送ることが出来ます。
栄養素を考えてメニューを決める癖をつけると、自分の体を大事にした丁寧な生活が過ごせるようになるんです。今まで足りていなかったり過剰な栄養素に気付いて、改めてストレスをかけてきた心身に感謝することもあるかも。
また、逆に動物性を摂れないことがストレスにならないように、無理なく少しずつ取り入れるのもおすすめです。ベジタリアンの食生活を楽しく実践するのも一つの重要な栄養管理だと思います。