画面越しのオンラインレッスンは、スタジオでのレッスンと比べて五感で得られる情報量に差があると感じるヨガインストラクターは多いのではないでしょうか。生徒さんの様子もわからないし、オンラインに慣れないヨガインストラクターにとっては、PC操作にも慣れる必要があるのでもどかしさは倍増することでしょう。
今回は、ヨガインストラクター向けにスキルアップ講座を開催している道子先生にオンラインでのヨガレッスンについての具体的なテクニックを伺いました。
もくじ
オンラインヨガとスタジオでの生徒の状況の大きな違いを理解しよう
- チェックリスト① オンラインとスタジオでのレッスンの違いをあげられますか?
- チェックリスト② 対面レッスンよりも事前準備は念入りにしていますか?
- チェックリスト③ 今日のヨガの落とし所は?
- チェックリスト④ 生徒さんとのコミュニケーションの時間をどれくらい設けていますか?
オンラインレッスンへの不安は、「知らないこと」への不安です。
オンラインのいいところは、グループレッスンでありながら、生徒さんの空間は自分の部屋、と言う個人であることや、先生を拡大してもらうと、まるで個人レッスンを受けているような丁寧な指導もできることです。
Zoom などを使うと録画することもでき、自分の復習に使えたりするのもオンラインだからの利点です。
ただし、生徒さんのネット環境やお部屋の広さ、家族や周りにいる人たちの影響、いろんなスタジオではない要素が加わります。
自分が画面に映ることに関して抵抗のある方や、身体がウオームアップしていないままに動く危険性もあります。
ヨガインストラクターにとっても、オンラインレッスンに「抵抗」や「自信のなさ」を感じるとすれば、まずはこの違い、が見えていなかったり、わかっていてもそれにどう対応するか、それがわからないことが、ヨガインストラクターの漠然とした「不安」に繋がっているのです。
ヨガインストラクターである自分はまず、この「漠然とした不安は何か」を知ることが大事です。
テクニック① オンラインヨガの特徴を自分なりに整理しよう
レッスンで、生徒さんに安心してもらい、快適に過ごし、さらに疲れを癒して欲しければ、まずはヨガインストラクターが安心して、それに取り組んでいる必要があります。
オンラインレッスンだからこそやるメリット、自分なりに本当にやるとすれば、ただスタジオレッスンの代わりにやるのではなく、メリットを活かす方がずっとあなたの特徴の生きる、他のヨガインストラクターとは差のあるレッスンを作ることができます。
紙に書き出してみよう
そのためには、まずあなたがレッスンで大事にしていること、それをあたらめて明確に書いてみましょう。今日のレッスンのテーマなはリラックス、だったらそのためのオンラインのメリットを書き出してみることです。そして、それを目一杯活かすプログラムや時間配分を考えてみましょう。
テクニック② 対面レッスンよりも事前準備は念入りにする
オンラインヨガでは、いつものように生徒さんが一望できる環境ではないです。そして、一日座りっぱなしだった人や、外から急いで帰ってきた人など色々な状態の人がいます。だから、一人一人の様子はやっぱり生徒さん自身に伝えてもらうことは大事です。
単純にヨガインストラクター側と、生徒さんのデバイスは違います。例えば、本番のレッスンの前に、無料テスト体験会を開く、というのも良いでしょう。
その際には、生徒さんが準備しなければならないこと(必要な空間、ヨガマットの準備など)を事前にお伝えしましょう。
オンラインレッスンでは生徒さんが受け身ではなく、能動的に参加してもらう必要があります。生徒さんの部屋の環境やネット環境はもちろん「自分のヨガの動き」に関しても責任を持ってもらう必要があるのです。
お部屋や環境によって本人のコンディションによって、ヨガの動きを生徒さん本人の判断で選んでもらう必要があるからです。
テクニック③ 「今日のヨガレッスンの目的」を特に明確に!
オンラインレッスンは、一人一人が先生をみているけれども、グループとしてのまとまりや意識は低くなりがちです。これをうまくグループに持っていくために必要なのは、「今日のレッスンの目的(ビジョン)」です。
生徒さん全員の状況が把握できたら、今日のヨガはどんなヨガなのか、みんなが何をしたがっているか、とのすり合わせの時間を持つことが、安心感を生むことになります。
目的を明確にし、生徒さん全員に理解してもらう事にヨガインストラクターは、意識を向けましょう。同じ方向にみんなで動いている、その意識は生徒さんの不安の解消にもなり、より充実したレッスンを提供できるのです。
テクニック④ 生徒さんとのコミュニケーションをスタジオの時よりも丁寧に
レッスンの時間になってスタートしても、すぐにヨガから始めるよりまず、ヨガを始める環境整備を重視しましょう。
身体の疲れやコリは、不安や緊張などの心からの影響を大きく受けています。できるだけ丁寧に、ヨガインストラクターは、最初の時間からそれを取り除けるようなセッティングをすることが大事なのです。
オンラインヨガでは、スタジオのレッスンと違って、お互いに受け取れる情報量が制限されます。生徒さんのお部屋の環境も聞いたほうが、適切なシークエンスを選ぶことが可能になりますので、ぜひ質問をしてコミュニケーションを心がけましょう。
床が冷たくて、寝る時間が長いと困る生徒さん、手を伸ばすような環境にない人、今日は朝からマラソンしてウオームアップされている人と、ずっとテレワークだった人、などいろんなことを聞き取りましょう。
オンラインだからできる生徒さん一人一人とのコミュニケーションを大事にしてみると、いろんなことがわかってくるはずです。
お互いのカメラをオンにする場合には、どんな人がきているのか、互いに人は知ることで安心します。軽い名前や自己紹介など時間をかけずにメンバーがそれぞれを知れる機会も丁寧に作りましょう。だんだんと場が出来上がってきて、2回目のレッスンはやりやすくなること間違いなし!です。
さらには、生徒さん自身に自分のマットや部屋の空間、動ける場所を確認してもらったり、体の関節の動きを触ってもらったりして、ウオームアップしながら、今日の自分について一言でもいいので言ってもらいましょう。
スタジオでは、いちいち、「○○さん、いかがです?」とか、どんな風にやってますか?とか聞かないと思いますが、オンラインの特性を生かしましょう。
スタジオレッスンでは、なかなか心を開いてくれず、レッスンに来る頻度が低かった生徒さんの参加頻度が上がったという例もあります。
言ってくれたこと、見せてくれたことに感謝しながら対応していくと、次第に生徒さんも慣れてきて、「今日はここが痛い」「こういうことがあった」など個人的なことをちょっとだけ話してくれます。ここは生徒さんとより深く繋がるために、とても重要な点なのです。
このように、オンラインの特性を生かした密なコミュニケーションは、生徒さんとの信頼関係の構築に一役買ってくれます。一人一人に声がけをしたり、ウオームアップしながら、話したり、情報収集をしながら、生徒さんと一緒にいるよ、見てるよ、ということを強調してあげることはとても大事なのです。
道子先生のアレクサンダー・テクニークのプライマリーコースとは?
道子先生のアレクサンダーテクニークのプライマリーコースでは、このような実践的なテクニックについても徹底的に学べるのですね
ヨガインストラクターのためのアレクサンダーテクニークのプライマリーコースで5回のレッスンでは、自分の望むクラス、どこに生徒を連れていきたいんだっけ?とイメージするところからスタートします。
アドバンスなスキルが身につくアレクサンダー・テクニーク
アレクサンダー・テクニークのプライマリーコースのレッスンでは、「問題にどう対処するか」という頭の中の整理もやっていきます。
自分が問題だと思っているほとんどの出来事は、以外とプロセスの整理ができていないだけです。整理できていない頭の状態が、人の行動を阻み、「不安」や「緊張」そして「悩み」「痛み」を生むのです。
人の行動は、身体の動きであるといえます。この「身体の動き」を観察し分析する力がヨガインストラクターに必要なスキルであります。
アレクサンダーテクニークのプライマリーコースでは、がこの分析力を生かしてサポートして行きます。生徒の皆さんも「ヨガの動き」の観察力も磨いていくことで、オンラインヨガでもっとパーソナルに喜んでもらえるレッスンも提供していくことができるのです。
自分と他者を切り離すのを、客観、主観、とよく言いますが、私はあまりそこを切り離さず、自分の思考や体の動きを観察しながら、行動を選んでいく能力がアレクサンダーテクニークだと思っています。洞察力を養うが近いかもしれませんね。
これは、訓練で身につけられるスキルだといえます。
RYT200では学びきれなかったヨガ指導者としての応用編を学べる
RYT200では、ヨガインストラクターにとって必要なスキルの基礎を学びますが、アレクサンダー・テクニーク・ヨガではさらに先のもっと踏み込んだ実践的な内容を学べます。生徒さんの痛み、や悩みにあまり引っ張られず、生徒さんの訴えの裏に、どんなことをしたくてそうなっているのか?「未来の願い」を見つけることが、ヨガインストラクターに必要な能力です。
例えば、「肩こり」に悩んでいる生徒さんがいたとします。自分はヨガポーズできない、怖いという思いこみがあって、ヨガレッスン中に過度に緊張しながらポーズをしている場合があります。
しかし、ヨガインストラクターに観察できる能力があれば、生徒さんは実は「自由に胸を開きたい」と思っていることを理解できる事が可能になるのです。
その場合は、「肩こり」とか「歪み」を改善しようと提案するより、「胸を開くためのやり方」をヨガインストラクターが生徒さんに寄り添いながら、一緒に楽しんで見つけていくヨガレッスンを提供したほうが良いと判断できます。
そうすると、生徒さんの「肩こり」は大抵無くなるだけでなく、満足度の高いレッスンを提供できるようになるのです。