最近ベジタリアンが浸透してきたと言っても、実際の日本のベジはまだまだ少ないと思います。日本人の国民性として、ベジを意識して実践していても公言しない方が多いのかもしれませんが・・・
これは、ベジタリアンに興味がある方やこれから始めようと考えてる人には、まだまだ良い環境とは言えないかもしれませんね。
では、ベジタリアンの多い国はどこでしょうか?今回は世界のベジタリアンの割合とその背景、私なりに日本に求めることを考察します。
世界の国別ベジタリアンの割合ランキング
ここでは、「ウィキペディアの菜食主義の割合」に沿ってランキングにしました。世界のベジタリアンが何人いるか、またどの国に何%位いるかなど正確な統計は取れないと思いますので、参考までにその国の傾向をつかんで頂けたら、と思います。
1位 インド

約13億の人口に対して29%のベジタリアン率、圧倒的ですね。マクドナルドにもベジタリアンメニューがあるほどです。
インド発祥のヒンズー教(約80%)やジャイナ教の基本アヒンサーという非暴力・非殺生で2000年以上の長い歴史があります。ほとんどがヒンズー教徒なので牛は食べず、イスラム教徒は豚を食べず、*ハラールフードを食べます。イスラム教徒は*ムスリムと呼ばれるイスラム教の信者のこと。
ヴィーガンやオボラクトベジタリアン、ペスクタリアン等様々いますが、何を食べ、何を食べないかは、宗教やカーストで決まります。一般にカーストの上位なほど食物規制が厳しいようです。
*ハラールフードーイスラム教のルールに沿って食べることが許されている食品や料理のことで、魚、野菜、果物、卵、牛乳など。豚肉以外ならルールに沿った畜肉は食せる。
*ムスリムーインドネシアやパキスタン、バングラディシュ、インド、マレーシア、中国に特に多いが全世界に18億人以上いる。
2位 イギリス、スイス、台湾
イギリス
イギリスのベジタリアンは人口比14%で急増しています。ポールマッカートニの影響もあるんでしょうね?BBCによると、10年間にヴィーガン人口は3.6倍になっているそうです。
その理由を、肉を減らすことに興味のある成人1000人以上を対象に行った調査によると、1位健康のため49%、2位体重管理、3位動物の福祉、4位環境への配慮となっています。
最近、高級スーパーウェイトローズにヴィーガン専門部門が開始されたようです。
スイス
スイスには、ギネスも認定する開業1898年、世界最古のベジタリアンレストラン「ヒルトル」があります。メニューは多国籍でうどんまであるとか。
台湾
台湾では、台湾素食(タイワンスーシー)と言い、中高年は、仏教、道教、一貫道等宗教の影響が大きく、若者は環境への配慮や動物の権利、健康志向の理由からベジタリアンを選んでいます。
台湾素食は、オリエンタル・ヴィーガン(乳製品・卵不使用)オリエンタル・ベジタリアン(乳製品・卵使用)タイプの両方があって、大きな特徴は五葷(葱、ニンニク、ラッキョウ、韮、浅葱)を使わないということ。そして、とにかくもどき料理が素晴らしいです。
3位 ニュージーランド、スウェーデン、ドイツ、ベルギー、ノルウェー
ニュージーランド
ニュージーランドは、酪農国家である一方ベジタリアン人口比が10.3%です。健康志向や動物の福祉が背景にあり、ファストフードやピザにもベジタリアンメニューが採用されています。
スウェーデン
スウェーデンでは国策に「完全菜食国家になる」と掲げ「昆虫食計画」を進めています。す、凄こい ことになってますね・・・一般には環境や動物愛護、ヘルシーな食文化を目指すからこそ10人に1人の割合でベジタリアンなんですね。ちなみに、「昆虫食計画」は全く定着していないとのこと。
ドイツ
ドイツでも健康上、宗教上、動物の権利、環境への配慮の理由からベジタリアンになるようです。レストランでもベジタリアン&ヴィーガンメニューがあるのは当たり前で、スーパーでも同様で代用商品の種類も豊富です。
また、ドイツでのベジは生活水準の高さを感じさせるものでもあり、ライフスタイルとしてのベジタリアンが主流になってもいます。日本製品には動物性が入っている場合が多いので売り上げが悪い地域があるとのこと。
ベルギー
ベルギーのゲント市では、2009年に毎週木曜日をベジー・デイにし、全ての学校や公共機関で実施しています。これは、地球の温暖化を食い止めるために決定されました。
どこのお店でもほぼベジタリアンメニューは採用されてるようです。ベルギーにはEU本部があるのでヨーロッパへの影響も考えられるかもしれませんね。
ノルウェー
ノルウェーのマクドナルドも金時豆ベースのパティを使ったヴィーガンバーガーがあるほどなので、ベジメニューは定着しているようです。
4位 カナダ、アメリカ、オーストリア
カナダ
カナダでは人口比9.4%がベジタリアンです。理由は、健康、動物愛護、環境等ですが、肉やの前で非買運動のデモをしていたり、逆にダウンジャケットを着ていたらヴィーガンレストランで入店拒否されたり、「ホントに?!」ってことあるそうです。
アメリカ

アメリカでも人口比9.3%で急増していて、動物愛護や環境保護の理由からベジタリアンになっています。PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)等の団体の影響もあるようで、日常的に「動物愛護」が広く定着しています。
オーストラリア
オーストラリアはアメリカと並んで肥満大国でしたが、こちらも人口比9%とベジタリアンが増えています。理由は、動物や環境への配慮、そして多くの人が健康や体重減らす目的でベジタリアンダイエットをしているようです。小さい子どもまで自分のベジタイプを口に出来るのにはビックリ!
5位 ブラジル
ブラジルでも8%とベジタリアン志向が高まっています。やはり理由は、世界最大のアマゾンの森林伐採の原因が肉食用の放牧や飼料農地であることと、それによる世界の気候変動の危険など、環境問題が身近にあると考えられます。
でも、健康のためにマクロビオティック等も増えていて都会の富裕層で広まっているようです。
6位 イタリア
イタリアもベジタリアンは急増していて7.1%となっています。その理由は、30%以上の人が動物の権利や福祉、24%が健康や体質、9%が環境保護のためです。
トリノ市では2016年ベジタリアン・ヴィーガン食の推進計画を表明していたり、一般でも、ベジタリアン、ヴィーガンレストランやファストフード店が続々と新規オープンし、既存のレストランでもベジタリアンメニューを増やすなど加速しています。
7位 オランダ
オランダでも、宗教上、動物愛護の観点から、健康目的からと理由は様々です。ほとんどの飲食店でベジタリアンメニューが用意され、スーパーでも動物性不使用には”V”マークを付けて販売しています。
ビックリなのは、「ベジタリアンブッチャー」という、味も食感も本物そっくりな100%植物由来の肉を販売するベジタリアン用肉屋さんの存在です。ちなみに、日本ではかるなぁでも購入出来ます!
関連記事:ヴィーガン、ベジタリアン初心者にも!おすすめ食材通販サイト6選
こんなに、ベジにとって至れり尽くせりなオランダが、ベジタリアン率人口比5%しかいないのが不思議です。。。
また、豚焼肉店「BUTAMAJINブタマジン池袋店」では、ノンベジ以外にもベジタリアンブッチャーを使ったベジタリアンメニューの提供もしています。
「BUTAMAJINブタマジン池袋店」についてはコチラ
関連記事:えっ、ホントに?!日本初、ベジタリアンメニューがある焼き肉店!
そして、「BUTAMAJINブタマジン池袋店」が手掛けるファストフードデリバリ―店でもベジタリアンブッチャーの商品が頂けるんです。
関連記事:ベジタリアンブッチャーデリバリー!日本初のファーストフード専門店
8位 日本
日本のベジタリアン率4.7%、ホントに?って感じです~最近やっとスーパーでソイミートを見かけるようになりましたが・・・都市部には、自然食品店があって若干のベジタリアン食材が並んでますが、他国のような専門店はほとんどありません。
元々、仏教からの精進料理があり、ペスクタリアンタイプの日本人ですし、身体のために肉を減らそうというフレキシタリアンの人口は多いかもしれません。密かに実践する隠れベジタリアンもいるでしょう。
また、美容やダイエット、健康志向からマクロビオティックを実践する方も増えています。
9位 中国、デンマーク
中国

中国も環境保護や動物擁護、健康志向の影響で人口比4%に増えています。
でも、中国では外食や出前が安く便利なため一般的ですが、ベジタリアンが利用できる飲食店はまだ多くはありません。家で料理するにも、遺伝子組み換えでない安心な食材や無農薬の野菜の調達が難しいので、かなり厳しい環境でしょう。
一方、地方都市でもベジタリアンメニューのチェーン店が何軒もあるので、日本よりも充実しているという声も。
デンマーク
デンマークでもベジタリアンを選ぶ理由として、環境や動物の権利や福祉があげられます。
ウィキペディアでは人口比4%とのことですが、カフェやレストラン、学食、給食では必ずベジタリアンメニューがあるという充実ぶりです。しかも、コンビニやスーパーにもベジタリアン用の食品が有るだなんて!日本よりランキング高いんじゃないでしょか?
10位 ポーランド、ロシア
ポーランド
ポーランドは、健康志向や動物権利や福祉の観点から、そしてベジ率の高い隣国ドイツの影響もベジタリアン選択の理由かもしれません。スーパーにはベジタリアンフードが必ずあってベジは市民権を得ているようですが、ベジタリアンの人口比3.2%です。
また、ベジタリアンのメディアHappy Cowによると、ポーランドの最大都市ワルシャワはベジタリアンにフレンドリーな都市の3位に選ばれています。
1位 ベルリン 2位 ロサンゼルス 3位 ワルシャワ
ロシア
ロシアでの人口比は3%。スクワやサンクトペテルブルグでは、ベジタリアンやヴィーガンの飲食店や代用肉、健康食品を購入できる食料品店があります。地方ではベジタリアンに対して理解度が低く、都市部とのギャップが大きいです。これは、他国でも多少はあるでしょうね?
10位まで紹介しましたが、他フィンランド2%、スペイン1.5%、フランス1.5%、チェコ1.5%、スロべニア1.4%、ポルトガル1.2%、韓国1% になります。
世界各国でベジタリアンが急増中
ランキングいかがでしたか?インドは断トツですが、カースト制度下層では牛を食べるなど、実はベジ率20%位という見方もちらほら。
上位の欧米では、ダイエットや健康志向以外に、動物愛護や環境への配慮理由でベジタリアンを選ぶケースが見られました。学校の社会見学や映画などの映像で、生々しい現実を知らせることが日常的にあるようです。このように、早い段階からベジタリアンを選択肢として知ることができる環境なんですね。
他でも各国で菜食人口は急増中です。ということは、海外からの観光客が増加する日本でも、今まで以上の対応が求められるようになってくるでしょう。
日本に求めることは?

国内外のベジタリアンが日本に求めることは何でしょうか?私が生活する上で足りないと感じることを元にまとめてみると、
・ベジタリアン、ヴィーガン専門飲食店や食料品店を増やす
・既存のレストランにベジタリアンやヴィーガンメニューを導入する←オリエンタルベジタリアンの乳卵抜きタイプ(オリエンタルヴィーガン)であればヴィーガンに対応できます。
・既存のコンビニやスーパーに”V”(ベジタリアンマーク)付きでお惣菜や食材を採用する←お惣菜もレストラン同様にオリエンタルヴィーガンタイプであれば品数少なくても対応できます。日本のお惣菜って、動物性不使用のものが多いので、調味料を替えるだけでベジタリアン料理になりますね。
・学食や給食、社員食堂でも日常的にベジタリアンメニューを選択できるようにする
こんな感じでしょうか?
これは、飲食に携わる人たちへの要望ですが、私たちにも出来ることは、一般のお店でベジタリアン用にカスタマイズ出来るか質問したりお願いしてみることですね。その時は叶わなかったとしても需要があることが分かれば、きっと私たちの期待に応えてくれると思います。
来年2020年の東京オリンピックや2025年の大阪万博という世界的なイベントに向けて、食の選択肢が増える可能性を考えるとワクワクしっぱなしの今日この頃です。